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#115 遺言書の保管制度

法務省民事局が発表した『遺言書保管制度の利用状況』によると、令和3年3月の1カ月間における遺言書の保管申請件数は1625件でした

これにより、制度が始まって以来の遺言書の保管件数は、累計で1万6655件にのぼりました

 

遺言書保管制度は、令和2年7月から始まった制度で、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度です

従来は、遺言書は大きく、①自分で作成・保管する自筆遺言と、②公証役場で公正証書として作成する公正証書遺言の2つが利用されていました

それぞれにメリット・デメリットがありますが、自筆遺言書の場合において実務で想定されるトラブルとして、たとえばせっかく作成した遺言書を紛失したり、利害関係者による改ざんや隠蔽、などの保管行為に係るものがあります

遺言書保管制度は、遺言書は法務局にて保管がなされるため、このようなトラブルを防ぐ効果が期待されています

 

弊所にご依頼頂いた案件の中にも、ご自身のご相続後における相続争いを回避して相続人の生活をしっかりと守ってあげたい、という遺言者の想いから、遺言書保管制度を利用した遺言を遺しておられたケースがございます

 

ただ、日本における年間の死亡者数は130万人を超えているのに対し、遺言公正証書作成件数は令和2年で年間10万件前後であることを考えると、そもそもで遺言制度が我が国で広く利用普及しているとは言いがたいのが現状です

 

遺言は、うまく利用することで、相続人間のトラブルを予防・回避することにもつながります

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この記事を書いた人

いわみ会計事務所

代表

岩見 文吾

保有資格
税理士・公認会計士・行政書士・ファイナンシャルプランナー(CFP)
専門分野
相続・会計
経歴
いわみ会計事務所の代表を勤める。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。