Q&A. 生命保険金は「遺産」に含まれる?
Q. 夫が亡くなりました。遺言書がないため遺産分割協議をしていますが、配偶者の私が受取人になっている生命保険の保険金も相続財産になるのでしょうか?
A. 受取人が相続人となっている生命保険金は、遺産分割協議対象の相続財産にはなりません(つまり民法上の遺産には該当しない)。しかし相続税を計算するときの対象にはなります(つまり相続税法上の遺産には該当する)。
受取人が法定相続人であれば、一定の控除が受けられ、その控除額を超える部分について相続税の課税対象となります
□ 相続財産に含まれるものと含まれないもの
民法では、相続財産は『被相続人の財産に属した一切の権利義務』とされています
相続財産として多いのが、不動産や預貯金、株券やゴルフの会員権、貴金属などでしょう
このほか、住宅ローンの残債務や未払税金などもマイナスの財産として相続財産となります
一方で、社員としての地位などの一身専属権は相続財産には含まれません(医者や公認会計士の資格などが相続の対象になったら大変です)
□ 生命保険は相続税の算定に含まれる
生命保険金は受取人の固有財産であり、そもそも被相続人の財産ではないので、(基本的に)遺産分割協議の対象となる相続財産にはなりません
一方、医療保険などが付加されている生命保険で、契約者も受取人も被相続人になっている医療保険金などは、死後に給付されたものも遺産分割協議対象の相続財産として扱われます
今回のケースでは、生命保険は遺産分割協議対象の相続財産にはなりませんが、相続税の対象となります
ただし相続税を計算する上で、法定相続人が受け取った死亡保険金の合計額のうち「500万円×法定相続人の数」で計算された額を上限として控除を受けることができます。そのため控除額を超過した額が課税対象となる遺産に集計されることとなります
ちなみに一定のものを除き、死亡保険金が支給される場合は、保険会社は課税当局に支払調書を提出していますので、課税当局に捕捉されているものと考えましょう。そのため相続税の申告に漏れがあった場合は税務調査で指摘される可能性が高いです
Q&Aの最新記事
- #133 金融商品の取引 3つの課税方式について
- #132 生前贈与のつもりが名義財産に?
- #131 相続財産の中で有価証券の占める割合14.8%
- #130 相続の基本について
- #129 相続登記の未了が原因で起きた失敗事例
- #128 土地の2割が所有者不明! 九州を超える面積に
- #127 年金の加入者が亡くなった場合、その年金は遺族が受け取る?
- #126 相続税と「養子縁組」
- #125 国債について
- #124 相続対策と認知症
- #123 相続預金の払戻制度
- #122 相続対策としての生命保険の活用
- #121 相続税の税務調査
- #120 遺族年金の2つ
- #119 数字で見る相続 「9072件」
- #118 どうする? 老後の資産形成
- #117 早めに準備を!相続税の納税
- #116 遺言書を保管してもらえる制度
- #115 遺言書の保管制度
- Q&A. 一度作成した遺言書の撤回や変更をしたい場合
- Q&A 配偶者も子どもも両親もいない…この場合の相続人は誰?
- Q&A 年末年始、家族や親戚が集まるときに整理しておきたい相続人と相続財産
- Q&A 相続につよい専門家 どのように判断する?
- Q&A 「生前贈与」と「相続」。節税対策としては・・・
- Q&A. 「未成年者」や「障害者」が遺産を相続する場合は控除がうけられる?
- Q&A. エンディングノートってなに?
- 子どもも両親もいない夫婦の場合は、誰が相続人になる?
- タンス預金は相続税申告に必要?
- 相続した土地を他の土地と交換すると税金がかかる?
- 亡くなった父の生前所得は確定申告する?
- 相続税の申告を税理士に頼みたいが、料金が不安です。料金はどのくらいでしょうか?