TOP #126 相続税と「養子縁組」

#126 相続税と「養子縁組」

養子縁組制度を利用して「子」の数が増えると、法定相続人が増えるため相続税の基礎控除額が拡大されます

今回は、養子縁組の基本的な知識について簡単に解説したいと思います

 

養子縁組は、法律上の親子関係を成立させるための制度です

これには「特別養子縁組」と「普通養子縁組」の2種類があります

 

■普通養子縁組

養子が未成年であれば、自己または配偶者の直系卑属でない限り家庭裁判所の許可が必要ですが、養子が成年ならば戸籍法に定める届出によって成立します

普通養子縁組が成立しても、実の父母と養子との間には親族関係が残ります。つまり、養親と実親の双方からの遺産相続が可能になります

よくあるケースとしては、実子がいない人が自分の甥や姪を養子にしたり、実子のほかに孫を養子にしたりすることがあります

親族関係で養子縁組をする場合は、自分より前の世代(尊属)を養子にすることはできず、後の世代(卑属)のみ養子にできます。また、年長者を養子とすることもできません

 

■特別養子縁組

保護者がいない子や虐待などによって実親のもとで育つことが難しい子を保護するために設けられた養子縁組制度です

普通養子縁組よりも成立要件が厳しく、原則として養親は25歳以上で配偶者がいること、養子は15歳未満であることが要件です

家庭裁判所の決定によって養子縁組が成立し、その場合は実の父母と養子との親族関係は終了します

 

養子縁組をすると法定相続人の数が増えることになります

相続税には「3000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除額が設定されているため、養子縁組制度を利用すれば控除枠が広ります

ただし、相続税の計算上、養子を無制限に法定相続人の数に参入にできるわけではありません

被相続人に実子がいる場合には、養子の数は1名まで、

実子がいない場合には2名までと制限されています

また、代襲相続人でない孫を養子にすると、相続税が20%加算されるので、節税対策としてはメリットばかりではありません

孫に財産を渡すなら、教育資金の一括贈与などの非課税措置を利用するという方法もあります

※暦年贈与の贈与税がなくなる可能性があるため

節税の効果も期待できる養子縁組制度ですが、ほかに相続人がいる場合はその相続分が減ってしまうことにも注意しましょう。相続分が減った人から不満が出やすく争いに発展してしまうケースも多々あるからです

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この記事を書いた人

いわみ会計事務所

代表

岩見 文吾

保有資格
税理士・公認会計士・行政書士・ファイナンシャルプランナー(CFP)
専門分野
相続・会計
経歴
いわみ会計事務所の代表を勤める。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。