TOP #121 相続税の税務調査

#121 相続税の税務調査

相続税の申告が済んだあと、忘れた頃にやってくる可能性があるのが「税務調査」

課税当局は、相続税の申告に関連する資料を随時収集しており、申告額が少なかったり無申告ではないかと想定されたりする事案に対して「税務調査」を行います

今回は相続税の税務調査の内容などについて簡単に説明したいと思います

 

平成27年の税制改正により相続税の基礎控除が大幅に下がったことから、従来は「相続税なんてうちには関係ないわ」と思っていたご家庭でも相続税の申告が必要になったケースが増えました。それ以降、節税への意識が高まった一方で知識不足で誤った節税をしてしまうケースも散見されています。申告後に「税務調査は大丈夫だろうか」と不安になった方も多いでしょう

税務調査とは、具体的に何をするものなのでしょうか。税務調査には「任意調査」と「強制調査」があります

調査は、感覚的には申告後から2~3年の間に行われることが多いように感じます

任意調査の場合、調査対象に選ばれると税務署から連絡があります。おもに預貯金通帳・証券・不動産関係の書類などが確認されます。実地での調査の場所は必ずしも定められた場所というものはありませんが、故人の自宅が残っていればそちらで行われることが多いです。法的な拘束力はなく、申告内容と整合性があればそのまま終えることができます。やましいことがなければ恐れることはありません

これに対して、強制調査は、脱税の存否とその事実を解明するために行われるもので、国税査察官が裁判所の令状を得て強制的に行われるので拒否できません。捜索や差押えなどが行われる場合もあります。

ただし、任意調査であっても、正当な理由なく拒否をした場合は強制調査に発展する恐れがありますし、罰則もあるため、基本的には調査に応じなければなりません

 

どのようなケースが税務調査の対象となりやすいのでしょうか?

これも弊所の肌感覚になりますが、まず1つは、やはり相続税の納税額が高いケースでしょう。会社経営者や投資家などの富裕層がこれにあたります。さらに、相続税の申告を税理士に依頼せずに相続人自身で行っている場合も対象となりやすいといわれています。専門家を通していないため、間違いがありそうだと予想されるのかもしれません。ほかにも、預貯金や現金の出入りが多い場合や暦年贈与の金額が多い場合、海外資産が多い場合なども税務調査を受けやすいと考えられています。相続税の申告が不要と判断して無申告だった人も対象になるようです

これらの項目に当てはまらない場合であっても、申告漏れなどにより税務調査の対象となる可能性があります。申告漏れをしやすい例として、家族が知らない貸金庫に現金を置いておいた、家族名義の口座に残高を残していた、といったケースもあります。高値の骨董品などを故人が収集していた場合も課税対象になる可能性はあります。趣味のものは高価な物品でも登記・登録されていないため、申告漏れしやすくなります

 

万が一、税務調査の対象となったときにも慌てないよう、相続財産や納税額についての書類を揃えておくことが大切です

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この記事を書いた人

いわみ会計事務所

代表

岩見 文吾

保有資格
税理士・公認会計士・行政書士・ファイナンシャルプランナー(CFP)
専門分野
相続・会計
経歴
いわみ会計事務所の代表を勤める。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。