#129 相続登記の未了が原因で起きた失敗事例
土地を相続したけれど、何らかの理由で相続の前提の登記がされていなかったという状況は相続実務でも頻繁に目にします
今回は、登記未了のまま放置することで起きてしまった困りごとを紹介します
ⅰ 他人名義のままの物件は売却もできず相続人確定にも費用がかかる
「相続不動産を売却することになったのに、売主名義にすることができず売れない」というケース
●事例その1
父が亡くなり、息子は相続した土地を売ることに決めました。しかし登記簿謄本を取り寄せてみると、全然知らない他人名義でした。父は生前「自分が購入した土地だ」と話していましたが、契約書なども見つからず父が所有していたことを証明することができませんでした。結果として当該の不動産を売却することはできていません
●事例その2
先代が先々代から受け継いだ土地が、空き地のままずっと放置されています。相続人であるAさんはその土地に家を建てて住みたいと考え、土地の相続による所有権移転登記を司法書士に依頼しました。ところが調べてみたところ、何代か前から相続登記がされておらず、土地の相続関係者が数十人以上にもなってしまっていることがわかりました。専門家に相談するも、「まずは調査をするだけでも時間と費用が莫大にかかります。そして相続関係者を特定することができても、その全員の居所・連絡先が分かるか、全員から署名がもらえるか、認知症の方や未成年者がいないかどうか・・・」といわれて途方に暮れています
土地に関する必要な登記をせずに放置すると、相続人がこうしたトラブルに直面してしまう可能性があります
相続人同士で意見が食い違い、話合いが進まない場合であっても、面倒だからといって放置してはいけません。次の世代の相続人がその土地を登記する必要が生じた際に、問題を処理しなければならなくなるからです
土地の相続人が複数いて話し合いが難しいとなったら、裁判所にて遺産分割調停や遺産に関する紛争調整調停など、相続に関する調停を申し込むこともできます。しかし、こうした手間をかけさせないためにも、相続登記をはじめとした相続手続は先送りせずきちんと済ませておくことが望まれます
ⅱ 相続登記がであっても固定資産税を支払う義務はある
相続手続をせずに登記をそのままにしておけば、固定資産税の請求が来ないと考えている人もいるかもしれません
しかし相続登記をしていない土地は、相続人全員の共有状態に入っているため、相続人は所有者として固定資産税を納める義務があります
相続財産のなかに不動産がある場合は、早めに手続きを進めましょう
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