#31 遺産争いを防止する3つの準備

遺産相続トラブルは年々増加しています。

弊所にご相談頂いた方も、当初は「うちは争うほど多額の遺産ではないから」「うちは仲が良いから」等と考えていた方も、手続きを進めるうちに協議がこじれてきて、最終的に弁護士案件になるケースも増えています

『遺産総額別遺産分割事件の内、容認・調停が成立した件数』(裁判所『司法統計年報(平成27年版)』によると、遺産分割事件の76%が「遺産額5, 000万円以下」だということがわかります

今回は、事例をもとに、相続争いを防止する3つの準備についてご紹介します

Aさんには3人の子どもがいます。長女と次女は結婚して都内のマンションで暮らしていますが、三女と
は同居しています。なお、Aさんの配偶者(夫)はすでに他界しています。

自宅や預貯金などを巡って相続争いが起こらないために、Aさんは生前の準備としてどのようなことが考えられるでしょうか?

1. 相続財産を調査する

まず、自分の資産について「何が」「どれくらい」あるかを整理しましょう。現状を把握せずして正しい対策や準備を始めることはできません

相続財産に含まれる資産の例は次の通りです
【プラスの財産】
●土地や建物などの不動産、貸付金などの債権
●現金や預貯金、株や債券などの有価証券
●自動車や貴金属などの動産 など

【マイナスの財産】
●借金や住宅ローン、未払の税金 など

相続財産に不動産が含まれたことから相続トラブルに発展することがあります

2. 遺言書を作成しよう

遺産相続トラブルを防止する対策として、「誰が何をどれだけ受け取るか」を明記できる遺言書の作成
は有効です

遺言書には主に以下の3種類があります
(1)自筆証書遺言:財産所有者自ら作成する遺言書
(2)公正証書遺言:公証役場の人と共同で作成する遺言書
(3)秘密証書遺言:遺言内容は秘密にしつつ、公証人と証人2人以上に遺言書の存在を証明してもらう遺言書

(1)と(3)は、「自書押印されていない」といった形式的な不備があると遺言の効力は無効になってしまいます

せっかく遺産争いを防ぐために遺言書を作成したのに全く意味のないものになってしまうのは本意ではありません。しかも「無効」と判明するのは遺言者の死後です

弊所では、遺言の作成される方には、効力の確実性に優れた「公正証書遺言」をお勧めしています

あわせて、遺言の内容を実行する「遺言執行者」を選任しておくと良いでしょう。遺言執行者は財産目録の作成、預貯金の解約払戻手続、必要に応じて専門家の選任などの遺産相続手続をしてくれます

遺言執行者には、相続人を指定することもできますが、弁護士や司法書士など第三者としての法律専門家を指定するとなお良いでしょう

遺言書の内容によっては新たなトラブルの原因となる可能性もあります

相続トラブルの防止策としての役割を果たすためには、遺言は「遺留分」にも配慮した内容にする必要があります。仮に遺留分を侵害する内容の場合は、侵害された相続人から遺留分減殺請求がなされることがあります

3.生命保険の活用

相続人が複数人いて、かつ遺産の大部分を不動産が占める、というような場合は、遺留分に相当するほかの遺産や現金を準備しておく必要があります。その方法の一つが生命保険金の活用です

なお、生命保険金は民法上、受取人固有の財産とされています。そのため、原則として遺産分割の対象にはなりません

さらに「500万円 × 法定相続人の数」までは相続税の非課税枠があります

今回は、相続対策の基本的な概要をご紹介しましたが、ご紹介した内容以外にも、さまざまな相続トラブル防止策や細かな注意点があります

相続についてご心配なことがありましたら、お気軽にご相談ください

この記事を担当した税理士

いわみ会計事務所

代表

岩見 文吾

保有資格

公認会計士・税理士・行政書士・FP

専門分野

相続・会計

経歴

いわみ会計事務所の代表を勤める。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。


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