#67 「遺留分侵害額請求権」について

遺言書の内容に関わらず、一定の法定相続人であれば『遺留分』と呼ばれる一定の取り分が認められています

その請求権のことを『遺留分侵害額請求権』といいます

今回はこの『遺留分侵害額請求権』について簡単にご説明します

 

遺留分侵害額請求権

遺留分と一定の法定相続人

『遺留分』とは、分かり易くいうと、一定の法定相続人に法律上保障されている遺産の取り分のことです

遺言などによってその遺留分が侵害された相続人は、その不足分を金銭的に取り戻すことができます。これを『遺留分侵害額請求権』といいます

 

遺留分侵害額請求権が認められる“一定の法定相続人”は、次に該当する相続人です

配偶者
子、およびその代襲者、再代襲者
父母や祖父母などの直系尊属

 

兄弟姉妹、その代襲相続者となる甥や姪には認められません

 

遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人の場合は3分の1で、配偶者と子の場合は2分の1となります

従来は『遺留分減殺請求権』と呼ばれていましたが、相続法改正に伴い2019年7月1日から変更されています

 

法改正による変更点

法改正による大きな変更としては、名称のほかにも、遺留分侵害額請求権が金銭債権となったことがあげられます

従来の請求権は金銭請求権ではなかったため、仮に相続財産が不動産だった場合、請求権者は不動産の所有権をほかの相続人と共有することになっていました

これでは被相続人が遺贈したかった目的財産が当の本人に渡らなくなるなど被相続人の意思が尊重されない事態にもなってしまいます

そこで、法改正により遺留分侵害額に相当する金銭を請求できるようになったのです

 

 

遺留分侵害額請求権で問題になりやすいのが、特定の相続人が生前贈与によって多額の財産を得ているようなケースです

たとえば、長女だけが家を建てる資金を親から贈与されていた場合、家を建てるための資金を相続財産として計上できれば遺留分の額が増えることになります

 

この点について、判例では『生前贈与が特別受益に当たる場合は遺留分算定の基礎とする』とされています

特別受益には、住宅資金のほか結婚準備金や留学などの教育費用、生活費の援助なども該当することがあります

 

遺留分侵害額請求権の注意点

遺留分侵害額請求権には時効があることに注意が必要です

 

遺留分侵害額請求権は次のいずれかの時点で消滅してしまい、時効を過ぎると権利を行使することができなくなります

遺留分権利者が相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年間遺留分侵害額請求権を行使しないとき
相続開始から10年が過ぎてしまったとき

 

遺留分侵害額請求権を行使して通常の金銭債権になった後は10年間(債権法が改正された後は5年)で時効となり請求権が消滅します

一定の相続人には遺留分侵害額請求権が認められるわけですが、時効までの期間は長くはありません

もしも侵害された遺留分を取り戻したいと思うなら、相続開始後、早めに対応をとっていくことが必要となります

この記事を担当した税理士

いわみ会計事務所

代表

岩見 文吾

保有資格

公認会計士・税理士・行政書士・FP

専門分野

相続・会計

経歴

いわみ会計事務所の代表を勤める。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。


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