#77 生命保険の受取人を誰にする?

相続対策として生命保険を活用している方も多いと思います

その際、死亡保険金の受取人をどなたに指定されているでしょう?

わたしの経験上の話ではありますが、配偶者にしているケースが多いように思います

しかし、相続税の節税や納税資金の点からは、受取人には配偶者だけでなく子を(子も)した方がより活用の効果が高くなるかもしれません

 

生命保険金の非課税枠

死亡保険には【500万円×法定相続人の数】という非課税枠があります

たとえば、法定相続人が配偶者と子1人の場合、法定相続人が2人なので合計1000万円が非課税枠となり、これを超えた分が課税対象となります

非課税枠は、生命保険金の受取額の割合に応じて変動します。たとえば、配偶者が7割・子が3割受け取るとすると、非課税枠は配偶者が700万円、子どもが300万円となります

配偶者のみが生命保険金を受け取れば、配偶者に1000万円の非課税枠が適用されます。

 

配偶者のみを受取人としているケースは多くありますが、この場合に注意しておきたい点があります

それは、相続税上は配偶者には1億6000万円もしくは配偶者の法定相続分以下が非課税となる『配偶者の税額軽減』が用意されていることです

たとえば、配偶者が相続する財産が死亡保険金をあわせても1億6000万円以下の場合、結果として生命保険金の非課税枠を活用しきれていないことになります

一方、子には未成年者控除以外にこうした特別な非課税制度がありません

そこで、子を受取人にしておくと、生命保険金の非課税枠を活用できることになります

 

生命保険金を納税資金に

『配偶者の税額軽減』の規定を受けることにより、配偶者の納税負担がゼロ、もしくはかなり負担軽減がなされていることが多いです

一方、子にはこのような大きな非課税制度がありませんので、

実際に納税負担が大きくなるのは、配偶者以外の相続人になることが多いです

 

そのため、節税対策だけでなく、納税資金の準備として保険金の受取人を子等にしておくことも非常に有用な相続税の対策といえます

 

相続税対策だけではない生命保険の活用

とはいえ、配偶者の今後の生活の安心を考えると、自宅を残しつつ老後資金もできるだけ用意してあげたいところです

そのために生命保険金は配偶者に渡るようにしたいと考えるかもしれません

 

仮に、配偶者と子が相続人で、相続財産として3000万円相当の自宅不動産と、3000万円の預貯金があったとします

このケースで、配偶者が自宅不動産を、子が預貯金を相続するとして遺産分割した場合、

配偶者の生活費の捻出が難しくなってしまいます

そこで、自宅に安心して住み続けながら老後資金も用意する手段として、生命保険を活用することもできるのです

生命保険は、原則として遺産分割の対象にはならず受取人の固有の財産となるため、

配偶者等の受取人にきちんと現金相当を渡す方法を確保できます

 

配偶者居住権

民法改正により『配偶者居住権』が新設されました

この居住権さえ持っていれば配偶者は自宅に住み続けられるようになっています

仮に自宅の所有権を2000万円、居住権を2000万円とした場合、

預貯金2000万円と合わせた合計6000万円の財産のうち、

配偶者には2000万円の居住権と1500万円の預貯金を、

子には2000万円の所有権と500万円の預貯金を分配することなどもできるようになります

そうすると、自宅も預貯金も配偶者に遺せるため、配偶者の老後資金として考えていた生命保険を別の目的で活用できるようにもなります

受取人に子を含める、あるいは子のみにして相続税を抑えることも可能となるのです

 

生命保険の受取人を決めるときには、相続税の非課税枠を考慮に入れましょう

配偶者に適用される1億6000万円以下や配偶者の法定相続分以下の非課税枠(配偶者の税額軽減)も最大限に活用して財産を遺したいところです

この記事を担当した税理士

いわみ会計事務所

代表

岩見 文吾

保有資格

公認会計士・税理士・行政書士・FP

専門分野

相続・会計

経歴

いわみ会計事務所の代表を勤める。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。


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