#60 遺産分割する際に不公平感が生まれるケース?
相続財産はできるだけ円満に分割したいものです。相続財産が預貯金だけなら円満かつ公平な分割もさほど難しくないかもしれません。しかし実際は相続財産には不動産や非上場会社の株式が含まれることが多く、公平に分けにくいこともあります
今回は、いくつかの具体的な事例を交えながら、遺産分割の公平・不公平を考えてみたいと思います
不公平感が生まれた遺産分割
(1)代償分割の場合
代償分割は、『1億円相当の土地を長男が相続する代わりに、もう1人の相続人である二男には5000万円の現金を長男から代償金として渡す』という遺産分割の方法です
資産価値1億円の2分の1にあたる現金が二男に渡っているため一見公平な遺産分割に思えます。ところが実際には不公平感を感じる相続人がいるかもしれません
たとえば長男です。土地を相続した長男は、今後は毎年固定資産税を支払わなければなりません
また仮に土地を売って現金化するにしても、売却交渉の手間・時間の負担がかかるばかりか、売却時に譲渡益が出ると譲渡税課税がなされるため最終的に長男の手元に5000万円が残ることはありません
(2)土地を分筆して分ける場合
土地が相続財産である場合、長男・二男での共有ではなく、土地を分筆してそれぞれを単独で相続することがあります
この際、きちんと検討せず単純に面積2分の1で分けるような分割をしてしまうと、後で取り返しのつかない価値の棄損につながりることがあります
たとえば道路に接道している土地とそうでない土地に分筆して分けてしまった場合です
書面上は平等に見えますが、接道がとれない土地は無道路地として建物が建ちません。また、その土地に入るために他人の土地を通らなければならなくなる等の事情から、接道している土地に比べて資産価値は著しく下落したものになってしまうでしょう
また、いずれの土地も接道がとれているにしても、面している道路幅員から容積率の制限を受けることもあります
土地の面積だけではなく、資産価値を基準に分割することを考えることが必要でしょう
(3)非上場株式を承継する場合
長男が会社を継ぎ1億円相当の株式を相続し、二男は2000万円の現預金・不動産を相続した、というような事業承継の場合、
事業後継者である長男の相続財産額が多くなるケースがあります
このケースでは長男が二男よりも8000万円多く相続しているため、二男から見れば不公平感を感じることあるでしょう
一方で、長男としても、非上場株式は換金性が極めて乏しいことから、現預金や不動産を相続した二男の方が恵まれていると感じてしまうかもしれません
このように書面上・表面上では公平に分割しているように見えても、実態は不公平感が生まれているケースも少なくありません
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